言葉にすることの力

今朝は、6:20起床。朝は、ヘルパーさんに8:00に来てもらっているので、7:00ころには朝食を食べ始めたいのだけれど、最近、だんだんお腹がせり出してくるのとともに、自分で思っているのよりも動きがスローになっているらしく、食べ始めるのが7:15、7:20、7:25…とだんだんと遅くなっていた。そうなると、ヘルパーさんを迎えるのもバタバタするので、10分だけ起きるのを早くしてみたら、今朝は7:00すぎには食べ始められた。朝の10分は、魔法の時間だ。


土曜日はハハはデイサービスの日で、9:00にお迎えがくる。それを見送ったあとで、今日が返却期限なので、図書情報館へ向かう。畑で作業中のオットに、ちょっと行ってくるよ、と声をかけると、もうすぐしたら外出るついでに送っていけるけど、と言われる。でも、資料探すのちょっと時間かかるし、と、せっかくだけど辞退した。


自力で、となると、まずうちから徒歩15分のバス停までを歩かなければならない。それも、うちはちょっとした山の中にあるので、起伏のある道だ。そして、最寄りのバス停から駅まで出て、そこからまたバスを乗り換えて図書情報館へと向かう。家を10時に出たら、図書情報館へ着くのはお昼前、と、けっこうな道のりになるのだけど、いい運動になるというのと、本音を言えば、待ってもらいながらだと、おちおち本を見ていられない、というのもある。この3か月ぐらい、家族の時間に合わせて動くことが基本で、仕事以外で自分ひとりで外に出る、ということもままならず(つわりがひどかったせいもあるけれど)、えっちらおっちら行くのが、楽しいんである。


自分ひとりで外に出るのもままならない、と書いたけど、それだけではなく、この3か月ほどは、何かを読もうとか、そんな気力も湧かなかった。つわりのピーク時は、活字を観ているとさらに酔いそうで、ふだんなら気晴らしになる読書がまったくできない。これはけっこうしんどかった。で、やっとつわりも明け、今の生活リズムもできてきたら、今度は猛烈に活字が読みたくなった。それで2週間前に、引っ越してきてすぐ利用者カードをつくったまま行けないでいた図書情報館へルンルンと出掛けたのだった。


前回もそうだったけど、大量の本の並ぶ書架の前で、「こ、これ、ぜんぶ読んでいいんだ…」と、涎を垂らしそうな勢いだった。妊娠脳のせいで、ちょっと(ちょっと?)おかしくなっているみたい。借りられる本は5冊と決まっているので、この2週間で読み終わらなかった本を延長して借りるのと、他にお目当ての本2冊、のこりの2冊は来てみてから選ぼう、と決めてきた。

 

今日借りた本は以下。

 

伊藤比呂美著『おなかほっぺおしり』『良いおっぱい悪いおっぱい』
川上未映子著『乳と卵』
高橋源一郎著『君が代は千代に八千代に』
大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』(読み終わらなかったので延長した)

 

…なんというか、3冊目までは、タイトルからして乳の匂いがしてきそう。ちなみに、前回のラインナップは以下。

 

川上未映子著『きみは赤ちゃん』
高橋源一郎著『非常時のことば:震災の後で』
落合恵子著『母に歌う子守唄:わたしの介護日誌』
伊藤比呂美著『伊藤ふきげん製作所』

 

どんな本を選ぶかってことに、そのときの興味関心や精神状態があらわれる気がする。これまではわりと、ひとつのテーマやひとりの作家を集中的に読む、という読み方だったのだけど、今は、なんだか思考を集中して持続させる、ということがむずかしい。興味はとっ散らかり、あれもこれもツマミ食いしたい!な気分なのである。

 

そういうわけで、コレ、と思ったものを乱読しているのだけれど、やっぱり、これまでなら手にとらなかった、出産や育児に関する本に手がのびる。川上未映子さんと伊藤比呂美さんの著書には、出会えてほんとうによかった。妊娠してから、絵に描いた様な情緒不安定で、急にかなしくなって頭から布団をかぶって嗚咽してみたり、もはや人間というより、子猫を抱えた雌猫のように全身の毛を逆立ててイラついてみたりと、自分の身体の野性に翻弄されていた。表向きは、規則正しい生活のおかげで、なんとか平静を装えていたけれど、心の中は、ともすれば、どす黒いものが溢れ出てしまいそうな、ぎりぎりの感覚があった。

 

それを、「それは、自分にかぎったことじゃないんだ」と思わせてくれたのが、お二方の本だった。言語化する、ということは、それだけでときにもの凄く救いになるもので、それで状況が激変するわけじゃないのだけれど、憑き物がおちたようになる。「あなたはひとりじゃないよ」と、抱きしめてもらったような、温かいものが、身体のなかに湧いてくる。先人の知恵を借りながら、わたしもまた、言葉にすることで、まず自分自身を支えるのとともに、どこかで誰かの役に、ちょっとでも立てばいいな、という気持ちもあって、このブログも再開したのだった。まずは、週に一回の更新を目標にしてみようと思う。